うつ病やアダルトチルドレン克服に必須の『マインドフルネス』① 2か月で脳が変わる #18
近年、被虐待者(含、いじめ・ハラスメント)・アダルトチルドレンなどのトラウマを抱えた人々や、メンタル疾患をもつ人々がそれを克服するにあたり、『セルフ・コンパッション』や『ポリヴェーガル理論』が非常に有効であると言われています。
そして、これら双方において、『マインドフルネス』が必要不可欠なベースとなっています。
そこで今回は、うつ病や不安障害をはじめとしたメンタル疾患、および、アダルトチルドレンやトラウマを抱えた人々の克服に重要なマインドフルネスについてご紹介します。
近年、グーグル、アップル、フェイスブック、ヤフー、メルカリ、丸井グループなど、多くの企業が、続々とマインドフルネスを導入しています。
また、そうしたビジネス界だけでなく、医療・福祉の現場や教育現場、少年院や刑務所などの矯正施設でも、すでに遍く取り入れられています。
マインドフルネスが、これほど注目を集めている理由には、
①集中力・生産性の向上
②問題解決能力の向上
③ストレス低減
④良好な人間関係の醸成
などがあるといわれています。
そして私自身、この2年間ほど続けているうちに、
①イライラすることが顕著に減った
②感情に客観的に気づけるようになった=『メタ認知』
③その感情に左右されないようにと考え、行動できるようになった
④体の凝りや痛みや変化に気づき、早めに対処ができるようになった
⑤ストレスを感じることが激減した
⑥さらにポジティブで前向きになった
等々、明らかにプラスの変化を感じています。
これらは自信を与え、生きやすさを実感させ、人生の質を確実に上げてくれています。
そこで今回は、
なぜ今、マインドフルネスなのか?
そもそもマインドフルネスとはどういうものか?
どんな効果があるか? どうしてそんなに効果が上がるのか?
など、その意味や定義、効果、そして方法について、詳しく説明していきます。
1.マインドフルネスの歴史とエビデンス
マインドフルネスは、1979年にジョン・カバットジン博士が、マサチューセッツ大学医学部内にセンターを開設し、
医学的治療が困難だった慢性疼痛の対処法として、後に紹介する『マインドフルネス瞑想法』を取り入れました。
以来、乾癬や高血圧、過食などの食行動の問題や、パニック障害等の不安障害といった心理的な問題にも成果を上げたことから、瞬く間に世界へと普及していきました。
以降のマインドフルネスによる効果についての研究を、少しご紹介します。
・1998年発表 乾癬患者の瞑想群は、瞑想を行わない統制群に比して4倍の治癒をみた
・ウィスコンシン大学での研究では、EQ(心の知能指数)が瞑想群で高くなった
・インフルエンザ予防接種において、瞑想群では免疫系における抗体反応の強化が見られた
など。
また、マインドフルネス瞑想による脳の変化が、fMRI検査の画像によって、明らかにされてきています。
・扁桃体(怒りの中枢。脳のハイジャックと呼ばれる。不安・恐怖~アダルトチルドレンに深く関与)の活動性を抑制
・前頭前野(脳の司令塔。冷静に考え、処理する部位。扁桃体のブレーキ)の活動性が上昇
このように、驚きの脳の変化が実際に起こっています。
さらにこうした素晴らしい脳の変化について言及する前に、まずはマインドフルネスについて、少しご説明します。
2.マインドフルネスとは、「いま」 という瞬間を「意識的」 に生きること
私たちはもちろん、現在(いま)を生きています。
けれども、その現在は、厳密な 「いま、この瞬間」 ではありません。
私たちはその多くを、思考にとらわれて過ごしているからです。
そして、その思考する対象はいつも、過去 か未来です。
「あのとき、こうしておけばよかった」とくよくよするのは過去のことですし、
「また嫌な思いをするかもしれない」と心配をするのは未来のことです。
過ぎ去った過去を悔やんで、まだ来てもいない未来のことを悩んでいます。
あるいは、痛い痛いと体の痛みに支配されて、いまこの瞬間に、他の臓器が静かに働き続けてくれていることや、呼吸を続けていることには思いが至りません。
このように私たちに備わっているマイナスの特性、つまり、過去や未来に注意が飛んでいってしまったり、体の症状に左右されて支配されてしまうといった特性を『マインドワンダリング(心のさ迷い)』といいます。
マインドワンダリングの状態にいる人は、気がかりなことに意識が飛んでいってしまっているため、ほとんどの時間を十分に意識しないまま過ごしています。
また、そうやって無意識に過ごしているため、今とらわれている不快な感覚以外の、様々な大切な身体のサインにも気づけなくなってしまっています。
こうした無自覚な無意識は、私たちを機械的に、習慣的に、物事を見たり行ったりして過ごすという『自動操縦モード』にさせています。
それは自分に無理な負荷をかけ続けていくことになりますから、やがて、うつ病をはじめとしたメンタル不全の状態に陥ってしまうようなことも少なくありません。
この自動操縦モードから『手動操縦モード』に戻すことが、マインドフルネスです。
手動操縦モードになるということは、自分の意志で、意識的に、物事を見たり行ったりして過ごすことができるということです。
それによって私たちは、自分の体や心について深く知ることができるようになります。
体が伝えようとしているメッセージを読み取ることができるので、適切に対処できるようになります。
心をありのままに見ることができるようになって、自分の感情を無理せず自然に取り扱うことができるようにもなるのです。
マインドフルネスの具体的な実践方法に、瞑想があります。
ここでいう『瞑想』とは、よく言われるような「無になる」とか「悟りを開く」とかいうような大仰なものではありません。
「いま、ここ」の自分自身に注意を集中させるだけです。
その指標として、呼吸に意識を向け、注意を集中させます。
その詳しいやり方については、次回、ご紹介しますね。
では、ここでもう一度、脳との関係に戻って説明します。
3.『マインドフルネス瞑想』をすることで、なぜ脳が変化するのか
マインドワンダリングの状態に陥ると、不安や恐怖を感じて、脳の中の扁桃体が反応します。
すると、脳から身体に指令が出されて、腎臓の上にある副腎からコルチゾールというストレスホルモンが分泌されます。
ストレスホルモンは心拍を早めたり、血圧を上げたりしてしまうので、心身に悪影響を及ぼします。
また、扁桃体が活発になることで、前頭前野が機能低下を起こします。
前頭前野は脳の司令塔の役割を果たしているため、機能が低下すると、冷静な思考や判断ができなくなってしまうのです。
ところが、最近の研究では、この状態にマインドフルネス瞑想が有効なことがわかってきました。
マインドフルネス瞑想が扁桃体の過剰な反応を抑え、それにより扁桃体のブレーキを緩めることができて、前頭前野の血流が増加し、機能が改善していくというのです。
それにより、再び現実を冷静にとらえることができるようになり、ひいては集中力や問題解決能力が上がっていきます。
ストレスも徐々に低減しますから、前向きに明るく穏やかに過ごすことができるようになるのです。
以上のように、脳神経学的にもしっかりとした裏付けがあり、エビデンスもたっぷりのマインドフルネス。
やってみない手はありませんよね。
4.『3分間呼吸のエクササイズ』
最後に、『3分間呼吸』のエクササイズをご案内しておきます。
マインドフルネス瞑想の予行練習のようなものです。
ぜひ体験してみてください。
①座ったまま目を閉じて、力を入れずに背筋をまっすぐに伸ばします。
②呼吸に意識を向け、注意を集中します。
息を吸ったり吐いたりするときに、お腹の動きを感じながら、膨らんだら「膨らみ」、縮んだら「縮み」と合わせてください。
それが難しければ、「吸って吐いて」をワンクールとして、数を載せていくだけでかまいません。
吸って吐いたら1、吸って吐いたら2、吸って吐いたら3、、、というように。
③この状態を3分間続けてみてください。
いかがでしたか?
呼吸に意識を向けるというのは、初めてだとなかなか難しいかもしれません。
でも、毎日取り組んでいれば、必ず意識を向けることができるようになります。
大丈夫です。
まずは、 「いま、この瞬間」 に意識を向けて、注意を集中させてみてください。
今日のこのエクササイズを皮切りに、2か月後には、あなたの脳は必ず変化しています。
ストレスフルな人達を対象に8週間のマインドフルネスプログラムを行い、その前後の fMRI画像を比べてみたところ、ストレス低減が見られた人は扁桃体が小さくなっていたという研究もあるのですから。
「いま、この瞬間」 に気づくことは、次の瞬間につながります。
そしてまた、その次の瞬間へと繋がっていきます。
今のあなたが案じている未来を変えられるのは、「いま」 という瞬間を自分のものとして、意識的に生きるあなただけなのです。
一人でも多くの人が「自分の人生」を楽に、楽しく幸せに生きていけますように。
一人でも多くの方の、心からの笑顔を見たいと願っています❀
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