アダルトチルドレン

マルトリートメント② ~アダルトチルドレンの人たちへ。知ることは、新たな希望への第一歩~ #23

2021年06月29日

1.マルトリートメントについて書く理由


私がマルトリートメント(不適切な養育)について書いている(マルトリートメントとは①チェックリスト #22 https://umi-hearty.com/813)のは、

もちろん、今現在アダルトチルドレンの人たちが抱えて苦しんでいるような「生きづらさ」を、
これから大人になっていく子どもたちに引き継がせてしまってはいけない。

虐待の連鎖はここで止めてほしい、と願うからです。

 

ですが、実はもう一つ、もっと近々の切迫した状況があるからです。
それは、現在アダルトチルドレンとして苦しんでいる人たちの中に、
その子育てで、あるいはパートナーとの二人だけの生活においても、
「決してなりたくなかった親さながらの自分」を見つけて思い悩んでいる人
少なからず存在しているという状況です。

 

アダルトチルドレンの人たちは、幼い頃からつらい体験をし続けてきたからこそ、

自分の手で築く家庭は「温かくて安心できる幸せな家庭」にしたいと、
子どものころから人一倍願ってきました。

それなのに、実際に愛するパートナーと家庭を築き始めたら、
あるいは念願の我が子を目の前にしてみたら、

「頭ではわかっている」のに、「些細なこと」で「簡単に」大きな怒りが湧き上がり、

自制しようと思う間もなく、大声で怒鳴ったり叩いたりしてしまう。

 

あれほどなりたくないと思い続けていた親たちと同じことをしてしまっている。

こんな自分は情けない。
幸せになれるはずの家庭を、幸せにしたい家族を、自分が壊そうとしている。

そして、このままエスカレートしていくのが怖い。
けれど、「やめたい」と心から強く思っているのにやめられない。

こうした悩みを泣きながら訴えてくる人たちが、実は少なくないからです。

 

思いきって、友人に相談した人もいます。

すると、その友人は

「わかる。私もダメだと思っているのに怒っちゃうことが結構あるよ。

叩くのはさすがにダメだから、怒ってもきかないときは聞こえないふりや無視したりして
やりすごしてるよ。…大丈夫だよ。私たちだけじゃない。○○さんも△△さんもそうみたいよ」と、

共感して、でも他にも似たような人がいるから大丈夫 といったことまで
教えてくれたそうでした。

それで一瞬「私だけじゃないんだ」と安堵したそうですが、

今度は、どこまでが「仕方ない。よくあること」なのかわからない。
虐待にはあたらないのか? 虐待との一線はどこなのか? と不安になって調べたけれど
よくわからない。。。

 

また、思いきって相談機関に相談してみたという人もいます。

すると、話は聞いてくれたけど、時折眉をひそめているのも見て取れて、
これ以上話したら通報されたり、マークされたりしてしまうのではないかと
心配になったそうです。

そして結局、精神科受診や「いざそのとき」には警察への通報を ということを
勧められたそうでした。

 

2.自分を責めなくていい。大切なのは「知ること」

 

人は、自分の知っていることが基準となります。

アダルトチルドレンの人たちでいえば、つらかったと感じている親たちの仕打ちでさえも、
自分が虐待と認識していなければ、虐待なのか違うのか の判断はつきません。

そもそも、それらの行為をつらいと感じることさえも「甘えている」「根性がない」と
言われ続けて、我慢を強いられてきたのですから。

ですから、マルトリートメントを提示したのは、
子育てで毎日必死に頑張っている親御さんたちを非難するためでも、否定するためでも、
ましてや傷つけてしまうためでもありません。

いまや子育ては「孤育て」とも言われています。

物音も響かない、エアコンも効き渡る快適なはずの空間ですが、実は誰にも察知してもらえない
密閉された孤独な空間となって、親御さんたちを苦しめてしまっている現実。

生まれて初めての子育てという体験を「間違っているかもしれない」と思いながら続けている
その人は、ものすごく不安で、ものすごく怖くて、ものすごく悲しくてたまらないと思います。

 

ですから今、誰も頼れず、孤軍奮闘でただひたすら頑張り続けている親御さんたちに、
できるだけ早く正しい知識を持ってほしいのです。

「これはダメ? それとも考えすぎなの?」といった答えの出ない問いに対して、

「それはマルトリートメントという、不適切な養育なのよ」という回答が得られれば、

少なくともこの苦しい堂々巡りからは抜け出すことができるから。

 

そして、抜け出すことができたなら、さらにその先に進んでいくことができるようになります。

「やっぱりこれは絶対によくないことなんだ。
それなら、私はこれから具体的にどうすればいいのだろうか? 
誰に相談したらいいのか?」と。

新たな課題を抱えることになるじゃないか と思われるかもしれませんが、
この課題は、堂々巡りの古い課題を手放せたからこそ得られたものです。

確実に、よりよい未来に向かって踏み出した第一歩です。

 

知識は人を助けます。
けれど、真剣に求めなければ簡単には行きつきませんし、得られるものではありません。

ですから、今回「マルトリートメント」という言葉に行きついた自分自身のその真剣さを、

まずはしっかりと認めてあげてほしいと思っています。
決して自分を責めないでほしいのです。
大切なのは「知ること」
そして、知ることができたなら、一日も早く「変化すること」です。

脳には可塑性があります。
愛着の再形成も可能です。
多くの専門家や臨床家が、豊富なエビデンスを報告しています。

もしも頼れる人が身近にいない場合、
マルトリートメントやアダルトチルドレンに詳しい専門家を利用してほしいと思います。








一人でも多くの人が「自分の人生」を楽に、楽しく生きていけますように。
一人でも多くの方の、心からの笑顔が見たいと願っています❀

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